2022年の8月頃から国税庁により所得税基本通達の改正案に対する意見公募があり、300万円以下の副業は雑所得として判断されると言う内容が話題になりました。
その後2022年10月の改正通達により、300万円以下であっても、税務署が認める形できちんと帳簿が作成され、保存されている場合は、事業所得として、おおむね認められると言う形の改正案の修正が入りました。
今回は、「事業所得300万円以下は雑所得という通達」がどういうことだったのかと言うことについて書いていきます。
事業所得300万円以下は雑所得という通達
2018年1月頃、政府が働き方改革の一環として「モデル就業規則」から、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の規定を削除し、副業・兼業に関する規定を新設しました。
この流れから、副業を推奨するような機運になり、副業元年とまで言われていました。
ところが、2022年8月1日に国税庁は、「所得税基本通達の制定について」の一部改正案に対する意見公募手続きがされました。
結果は、「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果についてから確認することができます。
確かに当時、会計士やクライアントの間で、改定案により、300万円以下の副業は雑所得として判断されるのではないかと話題になっていました。
通常は意見公募があっても、そのまま通達が有効になるため、個人事業主の仲間内でも「300万円は売り上げじゃないよね、これ所得でしょ?今年はもっと頑張らないとね!」と、話した記憶があります。
その後2022年10月7日に修正された通達
その後2022年10月7日に、改正が通達された「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」で、300万円以下であっても、複式簿記で記録があれば、概ね雑所得ではなく、事業所得として取り扱うという方針が明確化されました。
事業所得と業務に係る雑所得の所得区分の判定については、パブリックコメントにおける御意見を踏まえ、主たる所得かどうかで判定するという取扱いではなく、所得税法上、事業所得者には、帳簿書類の保 存が義務づけられている点に鑑み、帳簿書類の保存の有無で所得区分 を判定することとし、通達を別添のとおり修正いたしました。
「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案) (雑所得の例示等)に対する意見公募の結果についてのPDFより
この修正により、収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば、原則として、事業所得に区分されることとなります。
意見公募の結果には、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得に区分されることとなりましたと、ありますが、通達には、所得の収入金額が、通年(3年程度)の年間平均が300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、事業として認められるか個別判断が入るとあります。
つまりサラリーマンとして年収600万円ある場合60万円以下では事業所得ではなく雑所得になる可能性があります(給与所得控除額後の主たる所得かどうかは不明)。
また、通年赤字で、収入増加を目的とした営業活動等をしていない場合も営利性が認められない場合があるとあります。
あからさまに脱税に近い節税に見えなければ、副業としてフリーランスを本気で行い、税務署が認める形で帳簿さえしっかり取ってあれば、問題がないと解釈できる形になっていきました。
実際に300万円は可能なの?
右も左も分からない状態で、実績も何もない段階で、初年度に300万円越えの売り上げは難しいと思います。
現在の職業の経験を生かしたコンサルティングやコンテンツの作成による謝礼という形ならば、できなくもない気もします。ただし、事業活動として継続性を指摘されると難しいケースも多そうです。
たとえそういう何かを持っていなかったとしても、副業としての個人事業主であっても300万円以上の売り上げを本気で目指す気概さえあればなんとかなります(と思うしかないかも)。
継続性とはどういうことか
帳簿は継続性が求められるため、入金時に売上を立てるか、請求書を発行時に売り上げにするか、など、途中で簡単に変更することはできません。
そういった、税務会計上の仕組みを考えていく中で、事業としてどのような形にしたら良いか、といった計画により、雑所得から事業所得に行動が変わっていくと思います。
副業でもサラリーマン年収の10%以上を目指す
正直、今回の通達で雑所得と事業所得の線引きで、サラリーマン年収の10%以上と書かれている点について、ハードルが高いなと感じました。
もはや、副業ではないと思えなくもないです。
ただし個別判断で、黒字化に向けて頑張れば事業所得として認めてもらえます(雑所得では認めてもらえない先行投資などの必要経費が経費になります)。
松下幸之助翁だって、3口ソケットで事業主になっていったのです。難しく考えずに、軽く考えて頑張るしかありません。
筋肉質経営には管理会計が必須かも
当然のことですが、所得は売り上げから経費を引いた金額なので、経費最少売り上げ最大!!で、筋肉質な経営体質に改善していくしか改善方法がありません。
こうなってくると、月次決算ぐらいの精度で、経費や売り上げと数字を確認しながら、資金の動きを見える化していく必要が出てきます。
見える化するのに一番役立つのが、自分が事業計画を立てる上で見やすい管理会計の作成です。
とはいっても、独自の会計システムをいきなり作るのは難しいので、青色申告用の市販の税務会計ソフトやサービスを元に、科目を、実態が見える形で細分化して使っています。
継続性の問題があるため、2022年度からは青色申告ソフトバージョンと、新しい管理会計システムの2重で運用しています。
2016年に感じたことですが基本的に、青色決算書を作るときに、あまりに税務署に提出する科目がザルすぎて、ゲンナリしました。
部門毎に細分化した科目により、見える化していく作業は、売り上げを作る上で必須だと思います(僕のアフィリエイト部門(ホビー三昧D)は大赤字です)。
いきなり科目と書いてしまいましたが、科目とは勘定科目のことで、帳簿の仕訳で使う、お金や取引内容を示すための見出しのような物です。様式が定まっている財務諸表の科目追加変更はできませんが、青色申告はOKです。
ビジホビでは、科目についての記事を絶対に書くぞと決めているので、もうしばらく待ってください。
お互い、頑張っていきましょう!!!