独自の管理会計と税務会計を連動させるときに活躍する時役立つのが補助科目です。
そもそも、税務会計や管理会計とは何か?という疑問が、わいてくるかもしれません。まず、その疑問に答えるために、税務会計と管理会計の目的が違うという点を説明します。
その上で、補助科目が、税務会計と管理会計の違いを吸収し、連動させる要所になるヒントを説明していきます。
今回は、独自の会計方法の作成に着手する前に必要な、売り上げを生み出す決算書を作り出す最初のポイントを書きました。
税務会計と管理会計の違い
まず最初に、税務会計と管理会計の目的について着目し、違いを明らかにします。
違いが分かることで、スムーズに相互が連動する会計システムを作る上でのつまずきポイントを、回避する助けになります。
税務会計の目的と管理会計の目的
ホントに、目的が違うため、その違いをここでは、着目します。
- 税務会計
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税務会計は、ずばり、国税庁や税務署が、年度全体の結果を確認し、売り上げから経費を差し引いた利益から所得税を徴収するために必要な帳簿会計です。
税務会計は、会社法会計や金融商品取引法会計などと同じく、関連法の影響や目的に強く影響を受けています。
- 管理会計
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管理会計では、今現場で起こっている現場の状態を見える化することで、今、この瞬間の流れを元に経営判断や管理をするための会計手法です。
会社が、強制的な法的ルールに縛られず、自社の実態に合わせて自由に作ることができます。
このように、税務会計と管理会計では、目的や方向性が全然違います。
最初から見ている目的や方向が全然違うため、一生懸命、税務会計のルールに基づき、現場が見えて来るように帳簿を工夫しても、うまくいかず、つまずいてしまうのです。
違いを意識した上で、いかに、合わせていくかが、ポイントになっていきます。
業態に合わせた把握が税務会計では難しい訳
税務会計では最終的に、年度が終わった後の業績を、税務署が税法の根拠に基づき、把握するための仕組みになっています。
税金は年度毎に区切り課税されるため、途中経過である、様々な経費が織り込まれながら、材料仕入れから仕掛品へ代わり、製品になり、出荷されて、売上に変わる流れを細かく、見る必要がありません。
税務会計で、知りたいことはただひとつ課税する年度内の、「売上金額」から、「税法上で認められる経費と損金」と「複雑な控除」を差し引いた残りの「利益」です。
税務会計により確認できた、利益に対して課税をします。
「税法上で認められる経費」の等の、細かいルールに基づいた提出書類の作成を、申告者の代理として作るために、国家資格として税理士の資格があります。
あくまで税金が主役の税務会計は、経営をよくする事を目的とした会計制度ではありません。
税金を徴収する立場からすると、個人事業主が提出する青色決算書は、確定申告と提出期間が重なる2月16日から3月15日に集中します。
設立時に決算月を決めることができる法人であっても、それぞれが、独自の費用項目(科目)で、独自の解釈で集計されていたら、確認が大変です。
決算書を確認する税務署や、税務署がその信憑性を確認している書類として企業実体を把握したい投資家や銀行であっても、決められたルールで作られた書類の方が便利なのです。
もちろん目的に応じて、法律で定められた会社法会計や金融商品取引法会計などもあります。
法律成立当初の古い定めや、会社法と所得税法などの矛盾から、現在の実態ではなく、税法に合わせざる得ないケースもあります。
税務会計では所得税法の遵守が最優先です。例えば、仕入れて売れ残った棚卸し品は例え仕入れでお金を使ったとしても、課税対象にならないため利益とは分離されています。
決算書にある、貸借対照表と損益計算書にざっくり書かれた数字では意味がありません。
※専門用語書いてすいません青色申告書で提出する貸借対照表と損益計算書については別の機会で詳しく書きます。
このようなことから、実際の業態に応じた適切な集計にする事が難しくなっています。
管理会計が経営判断に適しているわけ
細かいルールが税法上で決まっている税務会計と違い、管理会計は経営判断をする者が、現在の状況を現場に行かなくても見えるように、自分たちが使いやすいように、工夫して作ることができます。
事業経営の目的は、売上を最大にして経費を最少にする事です。
売上の原資は付加価値の創造(クリエイト)です。沢山売るだけでなく、無駄や製造コストといった経費を最少にする事が重要です。
そのためには、注文や販売見込みを元に、材料仕入を行い、加工製造制作といった付加価値を付け、販売後の、売上に対して、それぞれかかった時間を含めたコストや損失が確認できる形で、見える化する必要があります。
さらに、フォード式生産システムが確立した現代のビジネスモデルでは、組織の拡張も重要になっています。現在は徐々に縮小や集約のしやすさも重要になっています。
売上と経費の流れを見える化した上で、税務会計と連動させる事ができる仕組みが、管理会計です。
拡張や増加を繰り返し組織が大きくなると、一人の経営者が全体を把握することが困難になり、結果的に無駄が増えてしまいます。
仕組みが単純で、分割に拡張や増加などが容易な形で、管理会計の仕組みを作ることで、経営判断の反映が早くなります。
だからこそ、管理会計が経営判断に適しているのです。
ただし、税務会計と管理会計を直接連動させる事は出来ません。
その連動に対して簿記にある補助科目の使い方がひとつの肝になります。
税務会計と管理会計の連動には補助科目
青色申告では帳簿の記録が義務づけられており、複式簿記による帳簿が必要になります。
当初、決算書から事業内容が見えることで経営判断に活かすことができると言ったキャッチフレーズなどから、管理会計は税務会計の会計科目(経費項目)を工夫した会計の事だと大きな勘違いをしていました。
管理会計の名称が商標登録されているため、書けませんが、創業者として会計システムを生み出した考案者が生前塾長として世界規模で開催して伝えていた、ある経営塾の塾長講話で、勘定科目を決めることが要だと説明していたからです。
決算書から現場の状況が想起できるような帳簿の科目になるよう工夫すれば良いのだなと、僕は5年ぐらい税務会計の帳簿に固着したため、本当の意味で税務会計と管理会計の目的が違うと言うことに気付きませんでした。
多くの失敗により、税務会計と管理会計を連動させるには補助科目が役に立つという捉え方と使い方に気づき、ようやく納得する仕組みを作ることができました。
集計すると税務会計と管理会計の数字は等しい
捉える時間軸が違うだけなので、管理会計を年度末に集計した数字と、税務会計の数字は等しくなります。
日本国で事業を行い、青色申告をするためには、税法上認められる形で、帳簿を付ける必要があります。
そこで、税務会計と、管理会計をつなげるために、税務会計の勘定科目の下に、管理会計の数字がそのまま入る補助科目を作りました。
勘定科目の下に入る補助科目を合算すると、上位の勘定科目の金額になります。
当たり前のことですが、裏を返せば、税務帳簿の勘定科目に税法的に対応した補助科目(管理会計と連動する)があれば、管理会計上の勘定科目がどこにあっても、問題がないのです。ニヤリ。ここまで読み飛ばさず読んでくれてありがとう。ここが、最大のポイントです。
この、管理会計の数字を集計して流し込む補助科目の作り方が、ポイントになっていきます。
管理会計は税務帳簿に対する補足帳簿
以前、税務署で税務相談したとき、よく言葉の意味を理解せず「僕は二重帳簿でやってるんですよ」と帳簿を見せながら話したら、「いやいや、あなたのは二重帳簿ではありませんね。真逆の明快帳簿ですよ」と言われました。
その時初めて、二重帳簿は、脱税を目的とした帳簿を意味すると知り、対応した相談員が普段税務調査に出向き、どういう所を着目しているかなどを知る機会になりました。
今考えると、税務帳簿で見えない動きを補足できる点で補足帳簿という表現が正しいかもしれません。
管理会計は、売り上げを作るために、何を行い、どうなったかがはっきり見える形で、作るのがポイントだと思います。
月次決算など会計帳簿を見ると、何を仕入れて、何時間掛け、何が売れて、何が残っているかなどが、数字を見るだけですぐに分かります。
まとめ
今回は、概念的な説明になっており、具体的な管理会計の内容を書いていません。まず、税務会計と管理会計の違いを押さえておかないと、つまずくからです。最後にポイントをもう一度おさらいします。
- 税務会計と管理会計は目的が違う
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- 税務会計は過去の状態を見る事を目的にして作られている
- 管理会計は今この瞬間の状態を把握する目的で作っている
- 税務会計と管理会計の連動の肝
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税務会計と管理会計を連動させる肝は、税務で決まっている勘定科目の下に作ることができる、補助科目。
ここが、自分の事業内容に適用した管理会計システムを作り上げる上でホントに重要になります。
さて、管理会計や補助科目について、より細かな具体例がないとイメージが難しいと思います。予定では、この下に、つながる記事があるのですが、まだまだ準備中です。
目標が明確になる管理会計は、ホントに凄い武器になります。お互い頑張っていきましょう!!