僕は個人事業主としてホビー三昧Dを含めて、税務署に開業届を出した上で10年以上事業活動をしています。
僕はこの記事を書くまで、開業届を3月15日までに提出し青色申告の承認を受けなければ、初年度から青色申告控除を受けることができないと思い込んでいました。
ところが、よく調べて見たところ、事業として開業してから2ヶ月以内に青色申告の承認申請を提出すれば、開業初年度も青色申告を選択する事もできることが分かりました。
期限があるからと3月15日までに、焦って開業する必要はありません。
ただ、3月15日までに青色申告の承認申請を出すことで、税務署によっては、税務署が外部委託した団体や業者による青色申告団体説明会や、初年度の帳簿個別指導(年3回から5回ほど)の無償参加の案内が届くケースがあります。
10年以上前の参加経験なので今は分かりませんが国税庁通達の「小企業納税者の税務指導について」に書かれている内容を見ると、今でもやっているかもしれません。
開業届は、事業開始及び停止してから1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」提出する必要があり、申請用紙には青色申告の承認の有無に関する項目があります。
開業届を出しても、開業してから2ヶ月以内に青色申告の承認を申請しない場合は、開業年度は白色申告になります。
白色申告は複式簿記による帳簿が必要ありません。その代わり、青色申告にある手厚い控除やメリットがありません。
ちなみに3月15日の期限は、既に開業をして青色申告の承認をせず事業を営み白色申告をしている人が、本年度の白色申告を青色申告に切り替えるタイミングでした。
開業届を提出する期限ではないので焦らなくても大丈夫です。事業を開始してから2ヶ月以内に開業届と青色申告の承認届を提出することにより、開業年度から青色申告特別控除を受けることができます。
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
国税庁:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
今年の申告書は白色申告だけど、今年度から青色申告に切り替えようと思う方は、3月15日までに青色申告の承認申請書を所轄の税務署へ提出することをお勧めします。
個人事業主として青色申告で開業するメリット
ここでは、フリーランスや、副業としての個人事業主のメリットを書きます。
ズバリ、事業として継続性が認められることで、販売利益や謝礼や報酬の取り扱いが、雑所得としてではなく、事業所得として税務申請できる点につきます。
売り上げにかかった経費も、個人事業主として、青色申告の条件となる、複式簿記で記録をすることで、最長3年間赤字として計上することができます。
それとは、別に、税法上の控除やメリットがあります。
- 給与所得などとの損益通算
- 青色申告特別控除
- 少額減価償却資産などの適用
- 青色事業専従給与
- 純損失の繰越し
上に上げた例に加えて、青色申告による65万円などの特例控除があります。
とここまでは、普通によく言われるメリットです。
青色申告決算書を真面目に作っていくと、現金化されていない前払い金や、買掛金、売掛金、そして前年度に仕入れた材料や商品、そして仕掛品いった前年度から引き継いでいる投資した経営資源を、作成した貸借対照表から正確に把握することができます。
小難しいことを書きましたが、僕が思うメリットは、複式簿記という面倒な帳簿を使い、自分の事業活動に即した科目を作っていくことで、日々の売り上げを作ることで決算書を自ら作り上げていく経営感覚へと意識が向くことだと思います。
とはいっても、僕自身は、月次決算で動きが見える仕組みができているだけで、まだ、決算書を自ら作り上げるという域に達してはいません。
事業活動開始時はがむしゃらに働くことで通帳の資金はどんどん増え、どんぶり勘定でもなんとかなります。
今まで努力してやっただけ入ってきたお金のスパイラルが途絶えたとき、どんぶり勘定では、何が利益になったのか、儲かった利益がどこから流出しているかなどが分からなくなります。
開業時から青色申告を選択するメリットは、どんぶり勘定の泥沼を防ぐ第一歩として、青色申告の要件である複式簿記が役に立ちます。
300万円以下は雑所得にするあれはどうなったの?
2022年8月1日に、「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)の意見公募があり、事業所得が300万円以下の場合、事業所得とは認められず雑所得とすると解釈すると記された改定案がありました。
その後2022年10月7日に、通達された「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」で、300万円以下であっても、複式簿記で記録があれば、概ね雑所得ではなく、事業所得として取り扱うという方針が明確化されました。
所得の収入金額が、通年(3年程度)の期間の平均が300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、事業所得ではなく雑所得になる可能性があります。サラリーマンとして年収600万円では60万円以下では雑所得になる可能性があります。
また、通年赤字で、収入増加を目的とした営業活動等をしていない場合はも雑所得として事業所得として扱われません。
あからさまに脱税に近い節税に見えなければ、副業としてフリーランスを本気で行い、税務署が認める形で帳簿さえしっかり取ってあれば、問題がないと解釈できる形になっていきました。
開業時に抑える必要がある税制度のポイント
日本では、所得があると税金を納めないといけないことになっています。
実務として実際に税金を徴収しているのは、国税庁ではなく税務署です。
個人事業主として税制度について、最初と最後に抑えておかなければいけないポイントは、税金は、その年の1月1日元日から12月31日大晦日までの所得に対して、税金を徴収しているという点です。
基本的に個人事業主として申請して登録されていないと、年間総額20万円以上の謝礼や売り上げは一律20.315%の税率の雑所得としての納税義務が生じます。
開業届を出し、青色申告の承認を受けることで65万円から10万円までの、青色申告特別控除を受けることができます。
青色申告を申請し承認を受けるには、
(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。
国税庁:No.2072 青色申告特別控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
と言う要件があります。
白色申告のメリット
色々な青色申告の控除やメリットを気にしなければ、白色申告でも問題はありません。
開業届を出すことで、事業所得になる活動を雑所得として課税されずに済みます。
もちろん、税務署が事業活動として認識する事が要件になり、開業届が出ているから無条件に事業活動として認められるわけではありません。
白色申告の最大のメリットは、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額をまとめて書き込むことができる簡易的な方法で、記帳が認められている点です。
青色申告のメリット
青色申告特別控除には、10万円から最大65万円まで事業所得の控除があります。事業所得控除とは、文字通り事業の利益に対して税計算を控除してくれる金額のことです
つまり事業利益が65万円の青色申告特別控除の対象のとき、年間利益が65万円であれば税計算は65万円の特別控除で本年度の事業所得が0円として税額計算がされます。
青色申告特別控除額
青色申告の特別控除には、10万円から65万円までの特別控除のランクがあります。
- 65万円の青色申告特別控除
- 55万円の青色申告特別控除
- 10万円の青色申告特別控除
10万円の青色申告特別控除では、入金と出金だけを記録した家計簿式の簡易簿記が認められます。
55万円からは、貸借対照表と損益計算書が付いた青色決算書の提出が必要になり、65万円では電子帳簿での保存またはE-Taxによる提出が必要条件になります。
2022年に国税庁の通達により、300万円以下の副業収入の場合、白色申告でも青色申告でも、簡易簿記や複式簿記などの記録が残っていない場合、雑所得になる可能性が高くなっています。
昔と違いそろばんや計算機で複式簿記を作成しなくても、会計ソフトで簡単に記載できるようになっています。
これから始める場合は、65万円の控除対象となるE-Taxでの電子申告だけ見ておけば大丈夫だと思います。ということで、青色申告のメリットを書きます。
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 赤字が出た年の損失を翌年以降3年にわたって黒字の所得から控除できる
- 赤字が出た年の損失を前年の所得から控除して前年の税金の還付を受けられる
- 家族に支払う給与を必要経費にできる
詳しくは、国税庁の「No.2072 青色申告特別控除」または、税務署の職員へご確認ください。
青色申告控除が65万円ある理由
65万円の控除対象になる複式簿記での記帳は、日々の支払いや受け取りに関わる事業資金の動きを全て記録しないといけないため、家計簿帳のように入金と出金だけを記録した白色申告で良いと思うかもしれません。
控除対象になるだけで納税金額が65万円控除されるわけではありません。仮に税率が20%だとすると13万円納税金額が減額されるだけです。
TKCなどの会計システムを利用している会計士に確定申告を頼むと、システム利用料だけで最低10万円はかかってしまいます。
だからこそ、65万円の控除があるのだろうなと、決算書を作りながら思います。
青色申告の承認申請の切り替え期限
「個人事業の開業・廃業等届出書」には、「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」と消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」の有無が書かれた項目があります。
3月15日までに開業届を出さなければ、その年はダメなのか?と思われる方も多いと思います。僕自身もそうだと思っていました。
ややこしいですが、所得税法第229条で「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」は、事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出する必要があります。
一方で、青色申告の承認申請は、事業開始から2ヶ月以内に提出することで、白色申告とは別に選ぶことができる制度です。青色申告の承認申請を提出しなければ自動的に白色申告になります。
家族への給料支払い青色申告控除について
まず、事業主が給料や謝礼などの報酬を支払うと源泉徴収票の発行義務が生じます。これは、「国税庁:給与所得の源泉徴収票等の交付義務」に、明確に書かれています。
個人事業主が、開業届を出し青色申告ができるようになり「青色専従者給与の届出」をする事で、家族への給料の支払いが月額8万円までなら源泉徴収票を発行しなくても、直接経費として支払うことができます。
ただし個人事業主の場合、青色専従者給与の対象者分について48万円の配偶者控除や扶養控除は使えなくなります。
ただし、給与所得の源泉徴収税額表にあるとおり、8万8千円未満では、源泉徴収をしなくても良いことになっています。
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっており、「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」を提出しないと、不納付加算税や延滞税が発生します。
ただし、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税について、年2回にまとめて納付できるという特例制度があります。
作家に原稿料を支払うときや大学教授などに講演料を支払うときは、報酬・料金等として所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
国税庁:No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき
青色申告承認申請書の提出期限
事業所得はその年の事業所得を計算するため、個人事業主として年度の途中から事業を開始する場合は、開業届と同時か開業2ヶ月以内であれば、青色申告の承認を初年度から選択することができます。
基本的に、個人事業主の決算は12月末日になり、提出期限が年明け後の3月15日までになっています。
それに合わせて、青色申告の承認は3月15日まで切り替えができます。
なんにしても、青色申告の承認がないと、事業として色々な控除や申請手続きの簡略化ができません。
今は、使いやすい会計ソフトや、クラウド会計があり、会計士に頼まなくてもある程度自分でできてしまうため、青色申告が良いと思います。